箱根を観光で巡ったことのある方にとって、箱根とはどんなイメージだろうか?

メディアでもよく目にする箱根湯本の観光商店街。強羅の箱根登山ケーブルカー。宮ノ下の温泉街。自然豊かな芦ノ湖や大涌谷。仙石原のホテル街。などなど、一口に箱根と言ってもその中にはさまざまな要素がある。そして、箱根の中でそれぞれの地域も別れている。

ところが、箱根通でも「宮城野」というエリアに足を踏み入れたことはないかも知れない。なにしろ宮城野は悪く言うとこれと言った観光スポットのないところ。例えば、以下の写真を見てほしい。これは、宮城野エリアの入口付近の宮城野橋交差点にある観光案内地図である。

宮城野橋にある観光案内板

ご覧のように有名企業の保養所は至るところにあるのだが、観光できそうなところがない。「観光案内」と言っている割に、どこを観て回れと言っているのだろうか。

しかし、逆に考えてみよう。観光客も少なく、静かで、周りは山や川に囲まれた自然豊かな落ち着いた場所と言えないだろうか。これこそ有名企業がこぞってこのエリアに保養所を建てる理由なのかも知れない。

動画で見る宮城野

春は早川の桜を楽しもう

箱根をめぐるには小田急線の箱根湯本駅からつづく箱根登山鉄道に乗るというのが王道だろう。一方、登山鉄道から離れたエリアは路線バスが便利だ。箱根の路線バスは、箱根の中をくまなく回っている(バス路線図へ)。その路線バスの営業所が宮城野にはある。「宮城野営業所前」という停留所だ。

停留所というよりはバスターミナルとも言えそうな広い敷地のほど近く。早川という箱根を流れる川がある。ここは春になると、以下の写真のようにこれでもかと言わんばかりの桜が咲き乱れる。実は、知る人ぞ知るお花見スポットなのだ。ところが、先の観光案内板には残念ながら桜に関する文字の情報がまったくない。左下にひっそりと桜の絵柄が描かれているのみである。観光案内板ならもっと積極的にアピールすればよいのに、とても残念だ。

宮城野の桜は早川の両脇に咲き乱れる

登山・ハイキングのいりぐち

宮城野の豊かな自然を象徴するもう一つのキーワードといえば、ハイキングコースである。

箱根町のサイトに20を超えるハイキングコースの一覧がある。そのコースの中のいくつかは、宮城野が入口になっている。ここから入って箱根の山々を堪能できるというわけだ。いくつか上げてみよう。

などである。

実は、ハイドレンジア箱根はちょうど登山通りの道沿いにある。近所には以下のような案内板があるのだ。

ハイドレンジア箱根の近所のハイキングコース案内板

ハイドレンジア箱根からの眺望

「宮城野橋」のバスを降りて坂道を上り5分ほどのところに先の案内板がある。そして、そのすぐ先にハイドレンジア箱根がある。ちょうど登山通りに面したハイドレンジア箱根の部屋から見える景色は最高だ。部屋にいるだけで周りの山々が望め、自然を感じられる。「都会の喧騒を離れて住む」とは正にこのことだ。

写真ではすこしわかりにくいが、見上げれば明星ヶ岳、見下ろせば宮ノ下の温泉街や箱根の山々が見える。明星ヶ岳は強羅から眺める大文字焼きが有名。一方の宮ノ下の方向は、140年の歴史がありここ数年で改修工事が行われた富士屋ホテルも眼下に見渡せる。

ハイドレンジア箱根の部屋からの眺め

宮城野の別の顔?

話はそれるが、地元の方に聞くと「職人の町」だという人もいる。箱根は観光地であるので当然ホテルなどの宿泊施設や観光施設が多く存在する。そんな建物の施工やメンテナンスを行う建築業者の方々が多くここに住んでいるらしい。たしかに宮城野地区を散策すると、工務店や設備屋さんの看板をよく目にする。自然豊かな宮城野地区の別の一面である。

さて、宮城野というエリアに興味を持っていただけただろうか?