リノベーションでライフスタイルを考える
ハイドレンジア箱根の紹介ページで述べたように、オーナーはリノベーションで建物を蘇らせる。建築設計の仕事をした経験を活かしてそれを行っている。築年数の古い建物でも関係ない。近年のライフスタイルに合わせて個性的なデザインの部屋に作り変えるのだ。
もしかすると読者は、賃貸のオーナーのことをこんな風に思っているかも知れない。
「大屋さんなんて、有益ばかりを気にして入居者のことは二の次」
ハイドレンジア箱根のオーナーは違う。建築士であり、高校生の娘を持つ母でもある。そんな自身の立ち位置を活かし、自分が住むことや、娘が将来住むことを考えて賃貸のデザインをしているのだ。言ってみれば、収益は二の次。これまで手掛けた賃貸物件も、まずは入居者第一だ。つまり、ライフスタイルを想定し、それを実現することを最優先に考えてリノベーションを行う。そして、自分の子が住んでいるように、自ら物件管理しているのだ。これらの物件は「デザインスタジオ ビジュ」という名で事業としてやっている。
2022年10月現在、ハイドレンジア箱根はまだリノベーション工事中。だが最終的には、そんなオーナーのこだわった部屋になる予定だ。実のところ、まだ完成予想図のスケッチさえない。そこでここでは、オーナーがこれまでに手掛けた物件のこだわりポイントを紹介する。それによって、ハイドレンジア箱根の最終形を少しイメージしてみよう、というわけだ。
シンプルデザインで特徴的なキッチン
以下の写真は、調布市仙川にあるオーナー所有の賃貸アパートの室内である。注目してほしいのはキッチンだ。
昨今、若い一人暮らしの世代でも自炊する人の割合が7割と高い調査結果がある。コロナ禍で外食が減った現在はさらに増えている可能性もある。一人暮らしと言えど、必然的にキッチンの重要性は高まる。そこで、賃貸においても重要度の増したキッチンを「見せるキッチン」にしてしまおう。そう考えて、導入しているシンクは、浮遊タイプのデザイン性の高いものだ。
ナチュラルテイストの無垢フローリング
賃貸の物件の床材は、ビニールタイプのふわふわとしたフローリングが多い。価格が安いからだ。ナチュラル志向やミニマムな生活スタイルを好むなら、椅子など置かずに地べたに座ったほうがいい。とすると、床の材質により快適さはかなり異なる。そこで無垢のフローリングだ。
これなら、裸足で歩いても地べたに座っても、自然な心地よさがある。オーナーはそこにこだわったのだ。
インテリアを活かす照明設備
在宅勤務も流行り、住まいで過ごす時間が長くなっていることだろう。室内ライフを快適にする要素は設備などの機能性だけではない。美的にも気を配りたいものだ。そうなると俄然インテリアが重要になってくる。そして、インテリアを引き立たせる上で照明の役割は大きい。
オーナーは「ライティングレール」を導入。照明器具(スポットライトなど)を入居者自身がインテリアに合わせて移動できるようにしたのだ。
美しいデザイン壁紙
ワンルームの部屋は、殺風景に白一色の壁という印象がないだろうか?
オーナーはここにも美を求めた。建築構造的に「ここは際立たせたい」という壁でアクセント的にデザイン壁紙を使うのだ。以下の写真は、オーナー所有物件の1部屋。壁紙は、特徴的な木の板調のもの。
以下の写真は、工事中のハイドレンジア箱根のもの。今回は一歩踏み込んで大胆な壁紙も採用している。完成が楽しみだ。